木を使う13 / 30
木は、一本ごとの癖を見て組み合わせる
堂や塔の木組みでは、一本一本の木が持つ癖を見きわめ、その癖どうしを組み合わせる。法隆寺の宮大工・西岡家に伝わる口伝「堂塔の木組は木の癖組」の意味である。
理由
風当たりの強い場所で育った木は、枝が風下へ流されるように育ち、幹も風下の側へねじれていく。西岡常一は、右へねじれようとする木と左へねじれようとする木を組み合わせれば、部材どうしが押さえ合って動かなくなると語っている。部材の力で癖を封じ、建物全体のゆがみを防ぐという考え方である。
木の性質が一本ごとに違うことは、木材の分野でも確かめられている。スギの含水率・ヤング率・収縮率は、品種の間、個体の間、同じ幹の中でも異なり、それが乾燥後の品質に影響する。根元に近い丸太から取ったヤング係数の低い柱材は、乾くと大きく曲がりやすいという結果もある。
ただし、右ねじれと左ねじれの材を組み合わせると癖が打ち消し合い、建物の狂いが防げるという点については、科学的な検証は確認できていない。癖に違いがあることは裏付けがあり、その癖を組み合わせて封じる方法は、棟梁の経験として伝えられているものである。
現場では
- 刻む前に、材ごとの曲がりやねじれ、乾き具合を見て記録しておく。同じ寸法の材でも、同じ癖とは限らない。
- 根元に近い丸太から取った材は、乾燥で曲がりやすいことがある。曲がりが出ても差し支えの少ない場所に回す。