吉野工務店
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木を使う11 / 30

木は育った方位のままに使う

山の南側で育った木は建物の南側に、北側で育った木は北側に使う。木が山で立っていた向きを、そのまま建物の中に写すという考え方。

理由

木は育った場所の条件を体に刻んでいる。日の当たる南向きの木は枝がよく張って節が多く、北向きの木は枝が少なく節も少ない。風を受け続けた木は、ねじれの癖を持つ。育った向きのとおりに使えば、材の癖と建物に掛かる条件がそろい、狂いが出にくく長持ちするとされる。

一方で、よく言われる「年輪の幅が広い側が南」は誤りである。年輪の偏りは方位ではなく、木が体を支えるために力を掛けている側にでき、これを「あて」と呼ぶ。斜面に立つ木なら、針葉樹は谷側、広葉樹は山側にあてができる。針葉樹は、傾こうとする幹の下側(谷側)に「圧縮あて材」を作り、幹の重みを下から押し上げるように支える。広葉樹は反対に、上側(山側)に「引張あて材」を作り、幹を上から引っ張り上げるように支える。支え方が逆なので、太る側も逆になる。

つまり「方位のまま使う」は、材の癖を活かすという点で理にかなう。ただし、木口の年輪だけを見て方位を言い当てることはできない。

現場では

  • 山での向きの記録が無い材は、年輪から方位を決めない。木口を見て、芯の寄りと年輪の詰まり方から、あての側を読む。
  • あてのある材は、反りや狂いの原因になりやすい。あての側を確かめたうえで、反りが出ても差し支えの少ない向きに据える。
  • 方位の記録がある材は、口伝のとおり、育った向きに合わせて据える。