吉野工務店
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伐る時期19 / 30

新月の頃に伐った木は虫がつきにくいとされる

冬の新月の直前に木を伐り、枝葉をつけたまましばらく山に置くと、虫がつきにくく、狂いや割れも少ない材になるという言い伝え。「新月伐採」と呼ばれる。

理由

新月伐採の材は、狂いが出ない、割れにくい、虫がつきにくい、カビにくい、長持ちするなど、多くのよさがあると言われる。理由としては、木の生命活動が月の動きと連動していて新月には養分が少なくなるため、などと説明される。欧州にも月の満ち欠けに合わせて木を伐る言い伝えが古くからあり、トウヒとクリの乾燥試験では、水分の抜け方や収縮に、季節による違いに加えて、わずかだが統計的に意味のある月の周期との相関が見られたこともある。

一方、否定的な結果も多い。同じ林分のスギを冬の新月と満月の日に伐り、同じ条件で葉枯らしと天然乾燥をして比べたところ、含水率、密度、割れ、動的ヤング係数、曲げ強さに明確な差は見られなかった(試験体は5本で、防虫性や耐久性は調べていない)。新月と満月で伐った木の含水率に大きな違いはなく、月齢で幹の水分が変わることは確かめられていない。2023年には、6樹種62本の幹の太さを1時間ごとに記録した長期データの解析で、日・半年・一年の周期は見られたが、月の周期の痕跡はどの樹種にも見つからなかった。腐朽菌やシロアリへの効果が見られなかった試験もある。

肝心の「虫がつきにくい」について、科学的な検証は確認できていない。新月伐採は冬に伐り、枝葉をつけたまま山で乾かす方法でもあるため、語られるよさのうち、冬に伐ることや葉枯らしの働きと、月齢の働きとは分けて考える必要がある。

現場では

  • 「新月伐採材」とうたう材でも、それを理由に防虫や防腐の手当てを省かない。
  • 材を選ぶときは、月齢より、伐った季節、乾かし方、含水率を確かめる。
  • 新月伐採の材を使う場合も、割れや狂いは一般の材と同じように出るものとして扱う。