曳家とは? 家を壊さずに動かすという選択肢

「家を壊さずに、そのまま動かせるんですか?」——曳家(ひきや)の話をすると、たいてい驚かれます。建物をいったん持ち上げ、別の位置へ移したり、傾きを直したりする昔ながらの工法です。今ではあまり見かけませんが、条件によっては解体・新築よりずっと理にかなった選択肢になります。実際に曳家や沈下修正を手がけてきた立場から、その中身をお伝えします。
曳家とは、建物を壊さず動かす工法
曳家は、建物を基礎から切り離して持ち上げ、レールやコロの上を滑らせて別の位置へ移す工法です。家全体を一度ジャッキで持ち上げるため、柱や壁、屋根といった建物本体には手を加えません。住み慣れた家の形や思い出をそのまま残せるのが、解体して建て直すのとの一番の違いです。数メートル横に動かすこともあれば、向きを変える、いったん上げて基礎を作り直す、といった使い方もあります。
どんなときに曳家を選ぶのか
曳家が選ばれるのは、たとえば道路の拡張で敷地の一部がかかってしまうとき、隣地との関係で建物の位置を少しずらしたいとき、あるいは地盤沈下で家が傾いてしまったときです。とくに傾きの問題は、内装をいくらきれいにしても根本は直りません。建物を持ち上げて水平に据え直す沈下修正・不陸調整は、曳家と同じ「家を持ち上げる」技術の応用です。古い建物でも構造がしっかりしていれば、動かして使い続けられます。
工事のおおまかな流れ
まず建物の状態と地盤を調べ、どこをどう持ち上げるかを見立てます。次に床下にジャッキやレールを仕込み、建物を少しずつ、ゆっくりと水平を保ちながら持ち上げます。移動が必要なら新しい位置まで滑らせ、最後に新しい基礎の上へ正確に据え直します。一つひとつの工程で水平やゆがみを確かめながら進めるため、段取りと現場の見極めがものを言う工事です。私たちは曳家工事を6段階に分けて記録してきました。
解体・新築と比べて
曳家は専門的な工事で手間もかかりますが、解体して新築するのに比べて、思い入れのある家や良い材をそのまま活かせるのが大きな利点です。廃材も少なく済みます。一方で、建物の傷みが激しい場合や構造に問題がある場合は、無理に動かすより建て替えが向くこともあります。どちらが良いかは家の状態しだいなので、まずは現場を見て見立てるところからです。「壊すしかない」と思っていた家にも、別の道があるかもしれません。
ふじみ野市の吉野工務店では、曳家・沈下修正・不陸調整といった専門工事も承っています。家の傾きや位置のことでお困りでしたら、まずは現場を見るところからお気軽にご相談ください。
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